ポルトガルワイナリー視察レポート
Wine & Soul- 2023/5/16 訪問 レポート:向井 畝津子
Wine & Soulはピニャオンの中心に位置し、ワイナリーの設立は2001年。ちょうどドウロのワイン生産地域が世界遺産に登録された年だ。その始まりは、二人の醸造家の運命的な出会いと結婚によってスタートする。その二人、サンドラ・タバレス・ダ・シルバさんとホルヘ・セロディオ・ボルヘス氏が心と魂を注ぐプロジェクトとして「Wine & Soul」と命名される。
我々がそのワイナリーに到着すると、早速サンドラさんの運転で最初に彼らが購入した畑、ピンタスに案内された。わずか2.5ヘクタールに非常に古いブドウの木がたくさんあり、40種類以上の在来ブドウ品種が畑で混植されている。彼女は42種類のブドウの品種が判別可能だそうだ。ちなみにティンタ・ロリス(テンプラニーリョ)は5つに葉が分かれているので判別しやすい。
畑にはシスト(片岩)がいっぱい散らばっていて、とても乾燥しているのでオーガニックで栽培に向いている。殺虫剤の代わりにフェロモンも使用しているそうだ。畑のアイデンティティを出すにためにはバランスを取ることがとても大切で、畑におけるダイバーシティーをとても大切にされている。フィールドブレンドで、同時期に収穫して混醸する。今はちょうどフラワーシーズンで、標高400mの畑に吹くそよ風も気持ち良かった。ちなみにピンタスとはドット(点)を意味する。その後、また彼女の車に乗り込んでワイナリーに戻り、今度は醸造設備を見学させていただく。やはりラガールがそこにあった。スティルワインでもポートのように足踏みで丁寧に搾汁される。しかし、2020年のパンデミックで人手が足りずに、ロボティックラガールシステムも導入されたそうだ。
Wine & Soulのワインは、非常に古い個別のブドウ畑から供給されるため生産量が限られているが、それぞれのブドウ畑の特徴をはっきりと表現していることがテイスティングを通じて感じ取れた。ブドウ畑の樹齢が古いため、彼らのワインは自然とテロワールに主導権を与え、ワイン造りの介入を最小限に抑えて造られている。
テイスティングで特に印象深かったGuru(賢者)はヴィオジーニョ、ラビガート、コデガ・ド・ラリーニョ、グヴェイオが混植された古いブドウ園である。このブドウ園は、ドウロ渓谷の端、標高600メートルの北向きの斜面にあり、土壌が片岩から花崗岩に移行し、並外れたミネラル感を発揮する。アイデンティティがはっきりとした非常にバランスが良く洗練されたワインであるが、残念ながらワイナリーでは既に完売しており、リスボンのワインショップでもすぐに売り切れてしまうほどに知る人ぞ知る高級ワインである。他にもアイコンとなるワインを色々とテイスティングさせていただいた。
- サンドラさんによるピンタスの畑の説明
- ラガール
- タンクから試飲
- 土壌の違い
- バカリャウのコロッケ
- サンドラさんとホルヘ氏
- Wine&Soul のテラスで至福のひと時