ポルトガルワイナリー視察レポート
Dona Maria Júlio Bastos - 2023/5/19 訪問 レポート:向井 畝津子
ポルトガル研修の最後に訪問させていただいたDona Maria – Julio Bastosはアレンテージョの真ん中に位置し、到着するやいなやそのゴージャスさに圧倒された。それもそのはず、18 世紀初頭に建てられたこの宮殿のような邸宅は、その美しさだけでなく、その歴史やワインの品質の高さの点からも参考資料として保存されている。歴史によると、かつてポルトガル国王 D. ジョアン 5世が、彼が熱愛していた宮廷女官ドナ マリアへの贈り物として入手したものだとされている。
ワイナリー名とワイン名はこの女性にちなんで名付けられた。現在の当主フリオ・バストスがここでワインを商品化し始めたのは1988年からで、その後、ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト(ラフィット)とジョイントベンチャーを8年間した後、ミレニアムの初めに新プロジェクト「ドナ・マリア・ワインズ」を開始する。好奇心旺盛なフリオ・バストスの祖先は、フランスのブドウ栽培者を雇い、フランスからアリカンテ・ブーシェの最初の苗木を持ち帰った。今も生産されているのは、このオリジナルのクローンで、このエステートでは、ポルトガルで最も古いアリカンテ ブーシェのブドウ園を所有している。そのため、樹齢の高いアリカンテ ブーシェはそれ単体でもとても複雑であるが、トゥ―リガ・ナショナルやシラー、プティ・ヴェルドとブレンドしても真価を発揮する。
そしてテイスティングの時にちょっとしたハプニングで登場したここの看板ワイン、Dona Maria Amantis Reservaa Branco 2014はViognier 100%からなり、この貴重なワインのテイスティングを通じてアレンテージョ産のViognierの熟成のポテンシャルの高さを感じることができた。
土壌は粘土質石灰で、400Lの2年目のフレンチオークで発酵し、6か月バトナ―ジュをして仕上げられる。白いユリやライチの香りも残しながら、そこに熟成からくるハチミツやナッティーさが加わり、土壌のミネラル感もしっかりと感じられる複雑なワインで余韻も長かった。現在インポーターを募集中だそうだ。
- ラベルに採用されたDona Mariaの肖像画の下でFrancoiseさんと
- Dona Mariaの正門
- 内装には 18 世紀のタイルがふんだんに使われており、この地域の典型的な大理石も家のいたるところに見られる。
- アレンテージョの伝統的な修道院由来のケーキ、セリカイアにプラムのシロップ煮を添えて。触感はプリンの様でプラムのシロップをたくさん付けるとポートも飲みたくなる。
- ポセイドンが見守る灌漑用水用のプール
- アレンテージョの南、ヴィディゲイラに位置するHerdade Paco do Condeのテイスティング